大判例

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東京高等裁判所 昭和48年(行ケ)23号 判決

一 請求原因事実中、本願発明につき、出願から審決の成立にいたるまでの特許庁における手続の経緯、発明の要旨及び審決理由の要点は、いずれも当事者間に争いがない。

二 そこで、審決に原告主張の取消事由があるか否かについて検討する。

引用例の記載内容並びに本願発明と引用例のものとの一致点及び相違点がいずれも審決認定のとおりであることは、原告の自認するところである。

ところで、原告は、取消事由(一)及び(二)において、審決の引用した周知例のものが本願発明と条件を異にする旨主張しているので、まずこの点について検討する。

成立に争いのない甲第八号証の一ないし四(周知例)によれば、審決の引用する周知例の第一五四頁第一四行ないし第一六行には、チタン酸バリウム磁器に金属を接着した複合型振動子(いわゆるランジユバン型電歪振動子がこれに含まれる。)に関する記載があり、同じく第一七四頁第一二行ないし第一九行及び第七・六二図には、金属柱状体の上下両端面にそれぞれ薄板状のチタン酸バリウム磁器を固着し、さらに、その磁器の外側面にそれぞれ金属板を固着した変形ランジユバン型電歪振動子に関する記載があることが明らかである。

そして、右甲号証に、成立に争いのない甲第二号証の一ないし三、第六、第七号証及び乙第一号証の一ないし四をあわせ考えると、

(一) ランジユバン型電歪振動子においては、例えば鋼鉄のような金属板が電極として用いられており、かつ、そのような構成が電歪振動子において本願出願前から常套手段であつたこと、

(二) 右金属板は、力係数、すなわち結合係数の向上をはかることを本来の目的の一つとするものであつて、副次的に温度補償の機能をも果すものであること、

(三) 変形ランジユバン型電歪振動子についても(一)、(二)の点は同様であること、

(四) 他方、本願発明においても、第一に、電歪性材料は、鋼鉄合金のような金属共振子と金属板との間に固着されているから、特に金属共振子のそれによつて有効に温度補償されるものであり、第二に、金属板は、その縦方向における寸法が共振子の全長に比し僅少であるとはいえ、引用例における導電性被膜よりはるかに厚く、また、その材質についても金属共振子のそれと大差ないものと推測されるから、これもまた、電歪性材料の温度補償に寄与するものであることをそれぞれ認定することができ、これに反する証拠資料は存在しない。

そうすると、右認定の各点を総合してみると、結局、本願発明における金属板と周知例に示された典型的及び変形ランジユバン型電歪振動子における金属板とは、その目的及び機能において異ならないことになるから、これに反する原告の主張はすでに採用することができないし、したがつて、審決が、電歪素子等の電極として金属板を用いることが常套手段であつたとし、さらに、金属板配置による効果も周知であつたとしたのは正当であつて、これに原告主張の誤認はない。

次に、原告は、取消事由(二)において、審決が本願発明の薄い金属板配置により奏する顕著な効果を看過していると主張し、本願発明に顕著であるとの点を除き原告主張の効果があること自体は、被告も争わないところである。

しかし、すでに判断したとおり、電歪素子の電極として金属板を用いること及び金属板配置による効果が周知であつた以上、引用例のものにおける箔状電極を本願発明のとおり薄い金属板に代えたとしても、それによつて収める右効果は、当然予測できる限度のものであるから、これをもつて顕著な効果ということはできない。

したがつて、この点についても審決に原告主張の誤りがあるとはいえない。

三 よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を失当として棄却する。

〔編註〕 本願発明の要旨は左のとおりである。

縦方向に置かれた両端に、金属の共振子より離れた面において金属化された電歪性材料よりなるそれぞれ一個の薄い板の形をした電歪性励振素子を備えているような縦方向において励振された少くとも一個の金属の共振子を持つ電気機械フイルターにおいて、電歪性材料よりなる板の金属化部分に共振子の縦方向における寸法がその全長に比して僅少であるようなそれぞれ一個の金属板が固着されていることを特徴とする電気機械フイルター

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